シリーズ「グッド派遣レポート」

人材派遣と託児所利用で女性のスキルが活きる働き方 株式会社サン・テンポラリー

株式会社のここがグッド!

  • 女性が子どもを預けて働ける環境整備
  • さまざまな就業サポートで働く女性を本気で応援
  • 地域企業と自治体とともに地域人材活性化

日本は「女性が活躍する社会」を目指した国の施策が進んでいます。出産を経ても社会で働きやすい環境が整うことは、女性にとって生き方の選択肢を広げるだけでなく、社会にとっても活力となることが見込まれます。
13年前からこの社会的課題に気づき、取り組んでいた人材サービス会社がありました。岐阜県の株式会社サン・テンポラリーは、人材派遣会社として働く場を提供しながら、2006年に託児所を立ち上げ、地域の女性の働きやすさを追求し続けています。
代表取締役社長の後藤聡さんは、「とびきりの笑顔で働く岐阜の女性を1,000人創出する」という企業理念のもと、託児施設だけでなく、女性の再就職支援、保育士・幼稚園教諭の派遣や、地元大学や幼稚園などさまざまな機関と連携した就業者フォローや子育て相談会を行うなど、領域を広げて女性の活躍を支援しています。今や地元の企業や女性はもちろんのこと、県や市からも信頼を得ており、相談は後を絶たないそうです。

働く女性を真剣に応援したい!

きっかけは、ある子育て中の女性との出会いでした。
義父が立ち上げた、製造業を中心とした人材会社は、地元の大手工場とともに順調に発展していました。あるとき、派遣登録に来られた女性を面談した後藤さん。職務経歴をみると、自動車メーカーでの貿易実務の経験など、スキルの高さに目を見張ります。なのに、子育てのために勤務時間がネックとなり、単純作業の仕事にしか従事できていなかったのです。女性としても本当はスキルを活かして働きたい、企業側もぜひうちで働いてほしい!ご縁はあるものの、どう折衝しても勤務時間が合わず、後藤さんは惜しさを覚えたそうです。
「子どもを預けられれば、培ったスキルを活かして働ける女性が増える!」後藤さんは、スタッフが働きながら子どもを預けられる託児所の設立を計画します。しかし当時はまだ、民間企業による認可託児所開設は、行政側が後ろ向きでした。そこで、幼稚園を運営していた学校法人渡辺学園とともに、認可外託児施設「チャイルドデイケアセンターNAGOMI」を本社隣地に立ち上げました。


▲現在は「チャイルドデイケアセンターNAGOMI」と企業主導型保育施設「サン・キッズ」を運営

これで子育て女性も働きやすくなるとスタートを切った翌年、世界をリーマンショックが襲います。同社は製造業中心だった当時500名の派遣契約が、160名にまで落ち込みました。億単位の赤字を抱える苦しい経営を、わずかな希望でつなぐ毎日。後藤さんは、保育士派遣をはじめとする女性スタッフの存在を思い返しました。女性の力が地域を活性化すると考えたのです。働く女性を本気で支援し、企業に対し、女性の活用を提案していくことに舵を切ったのでした。

スキル×時間×女性ならではの仕事を活かせば強い

女性のさまざまな現場を照らし合わせると、フルタイム勤務よりも、ある業務を何名かのシフトで分ける「ワークシェア」が効率よく能力を発揮できるとわかりました。先だって主婦のワークシェアに取り組んでいた東京の人材会社から学び、取り入れてみると、テレビ局の受付業務や図書館のカウンター業務などに最適でした。企業にもスタッフにも喜ばれ、パートタイム派遣の求人サイト「しゅふキャリ」は現在では700名の登録があります。また同社内でもワークシェアを採用されているそうです。社労士の有資格者と幼稚園保育園での勤務経験者が、それぞれのスキルを活かしながら、シフトによって共通業務をシェアしており、後藤さんも「本当に優秀!」と、スキルが集まる強みを実感されています。

女性の再就業を積極サポート

同社の取り組みが認めらえ、県や市とともに地域の女性活躍を促進しています。「チャイルドデイケアセンターNAGOMI」に子どもを預けて無料で受講できる3~5日間の再就職支援研修は大人気で、定員の2倍以上である1,000人の申し込みがありました。受講者の3割が即就業できたといいますから素晴らしい実績です!PCスキル研修を修了した主婦から、習いたてのWord文書で感謝の手紙をいただいたこともあるそうです。
ほかにも、男性管理職向けに仕事と家庭を両立させるための研修「イクボス」も好評。実は前職が製薬会社の営業職だったという後藤さん。仕事が厳しく、結婚や出産といったライフイベントにも会社から理解を得られなかった経験を交え、生き方働き方の気づきを与えています。
現在、「チャイルドデイケアセンターNAGOMI」は岐阜市の認可を受けた小規模保育事業施設として、また岐阜駅近くには企業主導型保育施設「サン・キッズ」を運営、同社の従業員や派遣スタッフを中心に託児サービスをおこなっています。

後藤さんは企業主導型保育施設設立のコンサルティングも行っていますが、安易に施設を増やすことには賛成しません。
「保育施設はビジネスではなく、働く女性を支援するためだから」という、一貫した信念に基づいているからです。地域に根を張って一人ひとりサポートすることを大切にしている同社。女性人材といえばサン・テンポラリー、と企業から評判なのも、同社の派遣する保育士や幼稚園教諭も定着率が高いのも、常にこの信念に立ち返った誠実な姿勢によるものだといえます。

人材派遣とは、スキルを買ってもらうもの」人材派遣と託児は相性が良く、その人が培ってきたスキルを犠牲にすることなく女性活躍社会を促進しています。
子育てと仕事が両立でき、スキルが活かされる喜びを“とびきりの笑顔”と表現する同社。2018年には、岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業31社に認定されました。女性の力で子どもたちが育ち、活性化していく地域の姿が見えるようです。

Interviewee

代表取締役社長 後藤 聡 氏

企業概要

株式会社サン・テンポラリー

  • 設立: 1988年
  • 代表者: 代表取締役社長 後藤 聡
  • 本社所在地:〒502-0817 岐阜市長良福光1645-10
  • オフィシャルサイト https://www.suntemporary.com/

事業内容

採用プロデュース及び人材サプライ事業
各種企業セミナー及び社員教育事業、アウトソーシング事業、WEB関連事業、自動車運行管理業、託児運営、施設内託児運営コンサルティング

この記事の著者

AsanoAkira

AsanoAkira

大学卒業後、大手住宅メーカーに3年勤務したあと、さまざまな社会を経験したく派遣社員として6社を渡り歩く。景気悪化による失業を経験したことも。6社目の経営コンサルタント会社で一般事務からコンテンツ制作業務に転身。以降、直雇用での約12年間は、企業経営の現場で経営事例などのべ200人以上の取材執筆、編集に携わり、「経営は人。人生そのもの」と知る。現在はライフコーチなどを通じて、100年人生を思い通りに動かしたい人たちと未来創りに参画している。
詳しくは「ライター紹介」ページをご覧ください。

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