シリーズ「グッド派遣レポート」

真の地域活性化と人材派遣会社の役割 ウイルフラップ株式会社

ウイルフラップ株式会社のここがグッド!

  • 独自の教育研修が県下一の開催数
  • 全国初の人材派遣業協同組合を立ち上げ
  • 人と企業が生きる地域活性化の取り組み

  

扉を開けると飛び込んできた子どもたちの元気な声。小学生向けプログラミング教室の生徒さんたちです。実は今年の大会優勝を誇る実力!この日は夏休みということもあり、大会予選に向けて取り組んでいました。

地域の人々みんなが活躍し、地元企業も一緒になって活性化したいという石川県金沢市に本社のある人材総合サービス会社 ウイルフラップ株式会社。人材派遣・人材紹介、人材教育を中心に展開しています。

プログラミング教室以外にも、職業訓練校として、パソコン科や観光科などを行っています。企業研修は県下一の開催数だそう。「教育研修によって人がスキルアップすることは、地域の活性化につながる」と2階建ての本社ビルをフルリノベーションし、教室を大きく設置、木を基調にした大きな窓のあるあたたかみのある本社は、お宅にお邪魔したようなリラックスできる雰囲気です。「ここを地域のパワースポットにしたい!」とおっしゃるのは代表取締役社長の高 由紀(こう ゆき)さん。自らも、元アナウンサーの経験から年間200件を超える研修・講演を行っています。子どもたちも大人も大好きな、お母さん的存在です。


▲代表取締役社長 高 由紀さんと、専務取締役 中田明秀さん

心でつながる人と人の集まりが「地域」

「本当の意味での地域活性化は、隣近所、人と人がお互いに思いやるコミュニティからはじまります。人材派遣会社は、そこに大きな役割があると考えています」ただ企業と人をつなぐだけではない、働く人を守り、活躍をサポートするなど、できることはまだまだたくさんあるとおっしゃいます。地域を、制度やマニュアルで線引きして統制していくのではなく、“心でつなぐコミュニティ”を活性化することで、人と人とが本当の意味で助け合い、支え合う風土をつくる。そうなれば防犯や防災といった有事にも地域の力が発揮されると考えています。

「だから、他府県に拠点を広げることはしないのです」とおっしゃるのは石川県で生まれ育った専務取締役の中田明秀さん。社員に、ボランティアやPTAなどに参加してもらうための休暇を奨励しています。驚くのは、勤務時間内でも地域活動に参加しやすくするために、社員日報やタイムカードなどの形式的管理をしないこと。報告、連絡で把握するのだそう。「社員がこの地で生き、活動することが地域社会貢献なのです。」
(中田さん)同社も30以上の地域の団体に所属し、さまざまなイベントや取り組みに参加されています。人々の生活を自らの足で知り、活動する、本当の意味での活性化を感じます。


▲地域イベントやお店のチラシを置く派遣会社も珍しい?!

派遣会社が適正に運営し、企業と働く人を守る

「人材会社には地域に対して役割がある。その責任を全うするためには公正で健全でなければいけない」高さんは、地域の人材派遣事業者のための組合「人材アットマークステーション協同組合」を立ち上げ、運営しています。きっかけはリーマンショック。派遣労働が社会問題となり、いわれもない風評被害に憤りを覚えました。「これでは社員と派遣スタッフがかわいそうだ!適正な人材派遣を行うことによって正々堂々と地域の人を守り、企業と良好な関係を築くことを示さなければ」現場の派遣会社同士が足の引っ張り合いをしたり、自社だけ儲けようと不正をしていては、働きたい人たちも、業界も地域も不幸になります。こうしていっけんライバルともいえる同業者同士で、協力しあいながら正しく派遣事業をしようという、全国で唯一の協同組合です。

具体的には、年に2回の派遣元責任者講習、派遣法など法理解についての勉強会や、労働条件の改善、派遣先企業への働きかけなどを行っています。これによって必要な情報が周知されるだけでなく、派遣スタッフ、社員、企業、地域とって信頼のおけるネットワークが作られます。


▲派遣元責任者講習を実施。法の理解、適正な職務や手続きを講習

派遣会社同士がつながりを持つことのメリットも大きいそうです。たとえば、働きたい人の希望業種が自社の専門分外だった場合、別の派遣会社を紹介することができます。また、企業から人材派遣を導入したいという場合には、最適な派遣会社を紹介することができます。いっけん他社を紹介することは不利になりそうですが、18社が加盟し、働きたい人と企業を最優先に考えられたこの取り組み、結果的に雇用の不安が軽減し、お互いに良いサイクルが回るように思います。業界のみんなで地域を支えようとする、高さんの誠実で高い志がうかがえます。

また、厚生労働省直轄の「石川県人材事業協議会」についても、同組合が事務局として運営しています。2019年で30年を迎えるこの会は、人材事業を適正に運営するための機関として運営されています。国からの目も届く組合。派遣会社は同業者での情報交換に抵抗はなかったのでしょうか?これらに加入している企業は、良い派遣会社として地域から信用を得られているそう。地域から認められた組合に育てられていることがわかります。


▲新しい働き方と人材の育成、安定した雇用のある社会を目指す

人手不足は本当か?

同社のもうひとつの強みとして、地域企業との関係性が長く、深いことがあります。中田さんは企業の部署や工程まで把握しており、その信用力から、就労を希望するスタッフとアポなしで企業の現場見学ができ、希望とのミスマッチを防ぐことができます。また、企業へのアドバイスも喜ばれています。「人手不足と言われていますが、社員が辞めなければ人手は足りるはず。打ち手はまだまだあると思っています」と中田さん。たとえば社員休憩室の作り方ひとつをとってもポイントがあるそう。ほかにも、増えているハラスメントのトラブルは、それを当然として育った経営者や幹部も多く、認識のギャップを指摘します。企業との関わりにフラットな関係性を感じます。客観的視点で有益なアドバイスができるため、同社には、企業から常に人材の依頼や相談があるそうです。


▲社内には取り組みのようすがあちこちに

人と企業の地域コミュニティーを強固にする同社。中田さんは「『世間の狭さ』をポジティブに捉えています」地に足を付けて、深く人の心で繋がるよう本気で取り組む。アットホームなのは本社だけでなく、地域全体をひとつの家族のように捉えているのだと、お話から感じました。
「日本は貧しい国ではないはず。働く人はもちろん、障がいを持った方、就労困難な方、どんな人にとってもセーフティーネットでありたい。すべての人の心豊かに活躍する場、教育の場でありたい」と高さんは力強く話します。「元気でいってらっしゃい!」高さんがみんなのお母さんとなって、地域の人たちの背中を押しているように感じます。

Interviewee

代表取締役社長 高 由紀 氏
専務取締役 中田 明秀 氏

企業概要

ウイルフラップ株式会社

  • 設立: 2007年
  • 代表者: 代表取締役社長 高 由紀
  • 本社所在地:〒920-0061 石川県金沢市問屋町1-20
  • オフィシャルサイト http://www.frappu.co.jp/

事業内容

人材派遣事業、人材紹介事業、再就職支援事業、職業訓練事業

グループ会社

エキスパート・フラップ株式会社.

組合運営

人材アットマークステーション協同組合、石川県人材事業協議会

この記事の著者

AsanoAkira

AsanoAkira

大学卒業後、大手住宅メーカーに3年勤務したあと、さまざまな社会を経験したく派遣社員として6社を渡り歩く。景気悪化による失業を経験したことも。6社目の経営コンサルタント会社で一般事務からコンテンツ制作業務に転身。以降、直雇用での約12年間は、企業経営の現場で経営事例などのべ200人以上の取材執筆、編集に携わり、「経営は人。人生そのもの」と知る。現在はライフコーチなどを通じて、100年人生を思い通りに動かしたい人たちと未来創りに参画している。
詳しくは「ライター紹介」ページをご覧ください。

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