シリーズ「グッド派遣レポート」

“人の腕”が支える日本のものづくり(前編) 株式会社ワールドインテック

株式会社ワールドインテックのここがグッド!

  • 専門性が活きる人材プラットフォーム
  • 技術者として活躍、スキルアップできる
  • ものづくりへの誇りと貢献を感じる仕事

  

“人の腕”が支える日本のものづくり(後編)はこちらから

今回はインタビューをお送りします。
ものづくりの現場は大きく様変わりし、人の仕事はどう変化しているのか? 研究、技術、製造、物流など、
ものづくりに携わる人材サービスで大手企業への総合コンサルティングやアウトソーシングを行う、株式会社ワールドインテック。
代表取締役社長執行役員 岩﨑 亨さんは、メーカーの開発エンジニアという経歴をお持ちです。第一線での活躍で、技術発展に大きく貢献され、現在は日本のものづくりを“人”で支えておられるという岩﨑さんに、お話しを伺いました。

ものづくりにおけるアウトソーシングの変化

――ものづくりの中で人材サービスはどう変わってきましたか?

ものを作る技術者というと、テレビを作るならテレビのことを分かっている人、車なら車のことを分かっている人がいればよかったけど、今は商品がどんどん“複合化”していますよね。テレビが生まれた頃は地上波放送の電波を受信して映し出すだけのものでしたが、今ではインターネットや記録機能なども備えるようになってきています。また車はタイヤとエンジンで走るだけでなく、利便性や快適性など色々な機能が組み合わされ、単なる移動手段から大きく変わってきています。
そして今や私達の生活から手放せなくなっているスマートフォンなども、最初は「もしもし・・・」が屋外で出きるという電話機能から始まり、メール・インターネット・カメラ・テレビ・・・多くの機能が付加されてきていますよね。

単一の機能から複合機能へ、そしてそれらが繋がるようになって、一つの商品に多種多様な技術が組み込まれるようになってきました。そのため、すべての技術者を自社で抱え込むいわゆる「自前主義」での商品化が難しくなってきています。
これは技術者の確保だけでなく、最新の技術を取り入れるという視点でも難しさが増して、個々の企業は、そのコアコンピタンス(中核になる強み)に注力し、その他は外部との連携・活用にシフトしてきているように思います。

社内で「誰か新技術を勉強しろよ」と言って1から習得させるよりは、社外にいる専門家に任せる方が、品質も時間もコストも良い。その領域の専門のエンジニアは、多くのメーカーの製造や開発の現場で関連技術を手掛けてきていますから、ノウハウも豊富だし応用力もあるのです。
以前は、派遣と言っても、労務変動の調整弁とか、作業を請け負うという意味合いが強かったですが、この商品の“複合化”によって、専門家として求められる役割が高まっているように思います。
メーカーさんのお家芸に相当するような独自技術は、そのメーカーさんが手掛けることで強みを発揮しますが、「共通的だけど専門性の高いような技術」については、自社で手掛ける必然性が薄まってきているのではないかと思います。

――共通的だけど専門性の高い技術とは?

さまざまな現場や商品で応用が利くような横断的に用いられる専門技術です。ものづくりで言えば、製造現場での装置オペレーションもその一つかと思います。
例えば、昔は各メーカーさんが優れた半導体装置を独自に作ることで他社との“差異化”を競っていました。今ではその工程のスタンダード化が進み、装置専門のメーカーが作っています。従って、“差異化”は、装置自体の性能から、その装置をどのように操作するかということに移行しました。同じ製品でも、100個分の材料に対して100個の製品が出来上がるのと、歩留まりが悪く90個の製品しか出来上がらないのでは、1個あたりにかかるコストが違ってきます。つまり、装置オペレーションに長けた人に任せておく方が、製品としての性能は個々同じでも、コストの視点で商品力は大きく違ってきます。
メーカーさんには、開発や工程設計に力を入れてもらって、ある程度出来上がったら、その後は装置オペレーションに長けた人に任せるというのが、これからの時代の流れじゃないかなと思います。これを派遣とか非正規とかという雇用の枠組みで捉えると、違和感がありますね。

「職」の流動化が人も産業も活性化する

――複合化だからこそ、それぞれの専門性が独立して活きてくると。

極端に言えばこれは人類の歴史が証明してくれています。縄文時代は、お父さんが魚を釣ったり、けものを捕りに行ったり、家も建てたわけですが、今は、家は専門の人に建ててもらうわけだし、衣服だって食料だって、みんな専門の提供者がいるのです。
建設会社の人はどこで働いているかと言うと、自社の建物の中で働いているわけではなくて、お客さんの土地へ行って建てているわけですよね。そしてそこが終われば他へ行く。専門の技術を持っている人は“動く”んですよ。建築も、製品を作るのにも、そこには“専門的な技術”があって、それらがちゃんと流動化して、必要とされるところに動かないといけない。

私はよく言うんですけど、「日本には、就職活動をしている人はほとんどいないよね」と。「就社活動」なのです。一つの商品を差異化するテクノロジーの寿命はほんの5年や10年。液晶テレビが良い例です。2000 年といえばデジタル放送が始まって、プラズマや液晶のテレビが花形の時代だったけど、今ではそれほど大きな変革や驚きはありません。だけど液晶のテクノロジーは、いろんなところで使われていますよね。だから液晶のエンジニアには幅広い活躍の場があるので、そういう人たちが技術と共に流動的に動けば、個人にとっても産業にとっても大きな力になっていくのでないかと。例えば自動車が好きで、自動車にずっと関わっていたい、35歳まではエンジニアでそこから先は営業や資材といった他の職種でもいいという人はその道を歩むべきですけど、ずっと技術と向き合っていきたいという人は、一つの会社や一つの商品にずっとこだわっていると、活躍の機会を逃すのはないかと思うんですよね。
ですから私たちは、そういう技術者に活躍の場を提供していけるようにしたいし、それが私たち人材会社に求められるミッションだと思うんです。活躍の場を変えていきながら、日本の技術の流動化をどう進めていくか、それによって人もものづくりも、より活性化すると思っています。

――技術の発展も複合化も全て人が行っていることですよね。

そう思いますよ。いろんなご意見があると思いますが、 AIとか IoT の発達で人の仕事が奪われると言われますけども、じゃあ今からもう30年前になりますかね、パソコンが世に出たあと、職場に事務の人がいなくなったかというと、そういうわけではないですよね。十数年前から、テレビ会議システムが発達し始めたことで新幹線や飛行機がガラガラになったかというと、そうでもない。相変わらず出張族でいっぱいです。
私はそれも歴史が証明していると思っています。産業革命以来、人の仕事は大きく変わったけど、減ってはいない。あくまでもAIやIoTといった技術革新は、“土俵”だと思うんですよ。その上で相撲を取るのは、変わらず“人”なんです。ただ、土俵が変わっていくということは理解しなければいけなくて、同じ土俵に留まっていたら仕事はなくなってしまうし、仕事の価値も下がってしまいます。エンジニアや現場の人たちがアグレッシブにイキイキと生きがいを持つためには、一つの場に執着するのではなく時代に求められる場所で仕事をしないといけないと思うんです。

先ほど申し上げたような「就社」がいけないということではありません。当社も、社員の「職」を活かす場を会社として提供しなければいけない。入社式で私は「皆さんはワールドインテックという会社を選んだけど、その前に職を選んだのです。これからは会社というよりも、『職』をベースに成長していくのです。ワールドインテックがその場を提供できてないと思ったら、皆さんはまず職を選んだのだから、そちらを優先した方がいい。
ただ皆さんも会社の一員になったのだから、皆さん自身も場を作ることに努めて欲しい。会社と共に場を作っていこう」ということを伝えています。成長がないと、人間はつまらないでしょう。

人が活きる場

――経営理念に「人が活きるカタチ」と謳われていますが、どういうことでしょうか。

イキイキと生きるということは、自分の仕事に誇りを持って、自分の仕事に意義を持てること。自分の居場所がちゃんと分かっているというのは、とても意味のあることだと思っているんです。
「人が活きるカタチ」っていろんな捉え方がありますけど、期待されながら仕事をできていると思えるかどうかが一番です。会社として整えないといけない制度はありますが、結局は人というか“人の気持ち”ですからね。やっぱり仕事の満足がすごく大事だなと思うんですね。

――-「気持ち」といいますと?

自分のできること、できる領域が分かっている、期待されて、貢献できているということでしょう。
当社では「人材プラットフォーム」と言っていますが、さまざまな専門領域で人材を揃えていきたいと考えています。例えば九州の地元で半導体技術職として働いている方に、会社から「関東の方でどうしても立ち上げたい仕事がある、行ってくれないか。」と言われたとします。派遣だとか非正規だとかいう捉え方で仕事を見てしまうと、本人は「なぜわざわざそんな遠くに」、ご家族は「だったら別の仕事に変えて」という解釈になる。
だけど、自他共に認める“半導体の技術屋集団の一人”というが看板あるとします。「自分が関わらなければ、メーカーさんの商品が立ち上がらない」と考えると、解釈は違ってきます。「会社から言われたんだけどさ、関東の方で半導体の工場が立ち上がるんだけど、行ってくれって言われているんだ」「なんであなたが行かないといけないの?」「俺はこの道のプロ。俺が行かないと立ち上がらない。軌道に乗せればそこでの使命は終わるよ」「そうなの、大変ね。わかった。でもお祭りの時はちゃんと帰ってきてよね」 となる。

――雇用形態よりも仕事への向き合い方なのですね。

誇りを持って働ける人が出てくるし、もっと学びたいという気にもなれる。さらに専門家同士での意見交換やコミュニケーションを活性化することができると、莫大なノウハウがそこに貯まっていきます。
共通的だけど専門性の高い技術を持つ人たちの集まりですから、A 社 B 社C 社と、少しずつ異なる技術を網羅できているわけです。A社さんの中だけでその領域を手掛けている人よりも、この集団ははるかにいろんな情報を持つことになるので、応用力も含め高い能力を持つことになるはずです。
強みはもう一つあって、1つの会社の中だけでは、新しいプロジェクトに関わるのは年に数回かもしれない。でもこのチームは、次々とさまざまな企業のプロジェクトをいくつもいくつも立ち上げる。経験の場が増えますからおのずと成長していくでしょう。

(後編へ続く)


▲(右)代表取締役社長執行役員 岩﨑 亨 氏  (左)社長室 横江 義弘氏

“人の腕”が支える日本のものづくり(後編)はこちらから

Interviewee

代表取締役社長執行役員 岩﨑 亨 氏

企業概要

株式会社ワールドインテック

  • 設立: 2014年
  • 代表者: 代表取締役社長執行役員 岩﨑 亨
  • 福岡本社: 〒812-0011福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1 福岡朝日ビル6F
  • 北九州本社: 〒803-0814福岡県北九州市小倉北区大手町11-2
  • 東京本部: 〒105-0021東京都港区東新橋2-14-1 NBFコモディオ汐留4F
  • 在籍人数:13,728名(2018年12月末現在)
  • オフィシャルサイト https://www.witc.co.jp/

事業内容

上場企業を主体とする研究開発、情報、技術、製造分野の総合コンサルティング、
人事コンサルティングおよびアウトソーシング
○ファクトリー事業(製造分野の請負および派遣事業)
○ロジスティクス事業(物流分野の請負および派遣事業)
○テクノ・SI事業(生産技術・設計開発の請負および派遣事業)
○R&D事業(研究開発・臨床開発分野の派遣事業)
○リペア事業(修理サービスの請負および派遣事業)
○購買事業(半導体関連の部品・部材調達事業)
○行政受託事業(産学官連携による共同人材育成・就職支援事業)

認定等

有料派遣事業者認定

持株会社

株式会社ワールドホールディングス(東証一部上場 証券コード:2429)

この記事の著者

AsanoAkira

AsanoAkira

大学卒業後、大手住宅メーカーに3年勤務したあと、さまざまな社会を経験したく派遣社員として6社を渡り歩く。景気悪化による失業を経験したことも。6社目の経営コンサルタント会社で一般事務からコンテンツ制作業務に転身。以降、直雇用での約12年間は、企業経営の現場で経営事例などのべ200人以上の取材執筆、編集に携わり、「経営は人。人生そのもの」と知る。現在はライフコーチなどを通じて、100年人生を思い通りに動かしたい人たちと未来創りに参画している。
詳しくは「ライター紹介」ページをご覧ください。

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