シリーズ「グッド派遣レポート」

平凡な日々が充実人生に変わる学び直し 川相商事株式会社

川相商事株式会社のここがグッド!

  • 将来のビジョンを共に描ける
  • 管理者スキルを習得できる
  • 成長を応援してくれる風土がある

  

大阪門真市に本社を置く川相商事株式会社が運営する「創喜感働塾(そうきかんどうじゅく)」。働きながらすべて無料で学べる、請負社員や派遣社員のための塾です。6か月後には第一種衛生管理免許を取得し、正社員として現場のリーダーになることを目指します。2012年に232人だった同社の離職者は、2016年には68人に激減したそう。厚生労働省から認められ、労働者派遣業ではじめて、グッドキャリア企業アワード2017大賞を受賞されたことは、以前にもこのサイトでもご紹介しました。https://good-haken.com/archives/1095

70人以上の卒塾生が現場リーダーとなって活躍

この塾で学べる内容は大きく2つ。仕事上の知識や技術を身に着ける「テクニカルスキル」と、社会人に求められるマナーや考え方を身に着ける「ヒューマンスキル」です。なかでも代表取締役社長の川相政幸さんは「心が開いていなければ、どんな学びも身に着かない」と「ヒューマンスキル」を特に重視しており、6か月間で大きな成長が見られるといいます。今回は、「働く喜びを感じる人を創る」という事業定義を掲げる同社で、実際に創喜感働塾で学ばれた3名の方にお話しを伺いました。


▲人材育成部 人材育成コンサルタント 障がい者雇用推進担当 宮脇 和孝氏


http://www.e4510.jp/school/

エアコン製造ライン 梱包工程リーダー 木村 匡さん

13年前の30歳の時、別の現場に派遣として入社し、今は請負ラインに在籍。「そもそも工場で働こうと思ったのも、人と話さなくてよいという理由だった」という木村さん。まったく話が苦手な様子は見られませんでしたが、実は塾の中で「本当は話し好きじゃないか?」と気づかされたそう。創喜感働塾を運営されている人材育成部 人材育成コンサルタント宮脇和孝さんによると、木村さんは責任感の強い方で、入塾によって週に一度現場を離れてしまうことに抵抗があったそうです。

――入塾のきっかけを教えてください。

何度か推薦してもらえていたのですが、正直勉強があまり好きではなく、また周りに迷惑をかけることを気にしていました。「大丈夫です、ぜひ行ってきてください」と背中を押され、せっかくの機会なので入塾しました。

――2018年10月~3月ですね。行きはじめてどうでした?

正直「仕事しながらつらいなあ」という気持ちはあったけど、学ぶうちに「得るものもあるなあ」と思えてきました。同期の7人が同じ方向を向いていたので励みになりました。「大変だった分、あっという間で充実していたなあ」というのが終わった時の感想です。
自分は決まった時間に言われたことをやるだけ、というタイプで、日々がただ過ぎていっている感覚だったけど、学ぶことによって努力もするようになり、いろいろな考え方も知りました。気持ちの面が大きく変わったと実感しています。

――例えばどんなことですか?

一番は、人に感謝する気持ちっていうのを自分は忘れていたなあと実感することがあって。今、現場には作業者の方が何名かいらっしゃるんですけど、一緒に働いている人ぐらいにしか思っていなかったのが、「この人たちが一生懸命働いてくれているから、滞りなく行われているんだな」と思えたり、何かしてもらったときに「ありがたいなあ」と自然に考えるようになりました。私生活でも目の前で車が停まってくれると「お、ありがてえ」と思えたり。今までだったら、停まって当然だろうぐらいに思っていて(笑)すごいしょうもないことなんですけど、すごく成長したなと思えますね。

――仕事の中だけでないのですね

人間的に成長させてもらえたな、と実感します。もちろん仕事のスキルも。パソコンに触れる機会などなかったですが、パワーポイントでプレゼンするための基本的なことを学ばせてもらったり。あとは考え方。ロジカルシンキングでしたっけ?今までそんなの聞いたことなかったので(笑)。ただ漠然と物事をやっていたのを「こうだからこうする」という理論的な考え方が、仕事でも活かされますし、私生活でもそういう風に考えるようになりました。自分にとって大きなプラスになったなと思いますね。

――私生活で活かされるほど、一生懸命学ばれていたのでしょうか。

やっぱり行かせてもらえている以上は身に着けて帰ろうと思っていたので、できるかぎり吸収しようという気持ちでした。学生時代なんて、学校に行っても授業を聞いていない、寝てるっていうタイプだったので。意識してちゃんと学ぶっていうのは、今回が人生初じゃないかなという気持ちですね。

――8時間の授業を17時に終えた時ってどうですか?

体の疲労は寝たら治るのですが、頭を使うのでだいぶぐったりします。最初のほうは、熱出るんちゃうかなというくらい(笑)。でも計画を立てるということも学んだので、この日にこの予定があるから、これを順番立ててやったほうが効率よくいけるなと、時間を有効に使えるようになった気がします。
ハードル高いというか苦手なところもありましたけど。一番大変だったのは、第一種衛生管理者の資格試験。こんな資格があることすら知らず、初めてだらけで勉強するのは大変でした。おかげさまでなんとか合格しました。

――おめでとうございます!受かったと知ったときはどうでした?

やっぱり嬉しかったです。達成感って、とくに僕は感じないタイプだったのですが、やってきたことで結果が出た、やったなあという達成感を感じられました。24才ぐらいのときに船舶免許は興味があって受けたので、その時とはまた違う取り組み方でした。今回はまったくのゼロからでしたから。

――改めて、塾に入ったことで何が大きく変わられましたか?

意識や考え方がいちばん変わったかな。以前は、日々に何か目的があるわけでなくただ単に働くという感じでしたけど、「どうしたらもっと良くなるか」という改善に頭がいくようになりました。またこういう生産ラインは、生産台数が利益に関わってくるのですが、以前はそんなことを言われても「別に8時から5時まで働いていたらいいよね~」ぐらいの気持ちでしたけど、こうしたら効率よくなるんじゃないかなとか、意識して。トラブルはまず起こらないことが大前提ですけど、誰かのケガはその人も痛い思いをするし、仕事ができなくて大変です。他人を気遣うことができるようにもなっています。5月1日付けで正社員になったことは自分ではまだしっくりきていないですけど、周りの人からそう見られるので、お手本となれるように心がけるようにしています。

――以前の木村さんのような方に、お伝えしたいことはありますか?

頑張って学んでキャリアアップしている人はたくさんいます。どんな人も成長したい意思表示をすると川相商事は受け入れてくれる会社だと思うので、頑張る人が現れたらいいなと思います。今まで何も感じなかったことでも、別の角度から見ると「楽しい」と考えられるようになりました。学んだことで、日々充実して楽しく過ごせているなという実感があります。

エアコン製造ライン 職長 高井和也さん

現在入社10年目。宮脇さんによると「入社してきた時はなんてチャラい、ヤンチャそうな子やなという印象でした。でも根が素直でハングリー精神があった」という高井さん。2年目の19歳の時に創喜感動塾へ入塾。卒業されてから、周囲を考えながらふるまいを変えていき、信頼を得て、今では当面の目標であった職長にまで成長されました。

――現在はどのようなお仕事ですか?

生産管理や品質管理、現場のフォローなどをしています。常に考えている感じですね。以前の自分からは、こんな立ち位置になっているとは想像も絵も描けなかったほど、ギャップがあります。

――入塾前のご自身はどのような感じでしたか?

そこらへんの、よくいる遊んでる子。定時間の仕事をただこなせばいい。そこに何かを求めるより、ただ働いてお給料をもらうという生活でしたね。
遊びたいのもありましたけど勉強が苦手で、高校一年で学校をやめて、バイトしながら派遣でちょこちょこ入らせていただいていました。人生とか将来なんかまったく考えていなかったですね。正社員として働きたいとは片隅にはあったんですけど、学歴もなかったので具体的に考えられなかったです。

――入塾のきっかけは何でしたか?

他社の派遣から川相商事に働きにきていたときに、当時の派遣会社の契約が終わるという話になりました。川相商事の担当の方から「うちにこないか」という話の中で創喜感働塾の存在を聞いて、なんとなく気になっていました。
川相商事で働くことになりましたが、このままじゃダメだなーと思っていました。20才になる直前、遊んでばかりで中途半端だし、もうちょっと先のこと考えなあかん!と奮起し「創喜感働塾に行かせてもらえますか?」と担当者に話してみました。「やる気あるんやったら、行きーや」と承諾してくれたのです。

――実際どうでした?

今まで勉強してこなかったことを後悔しました。例えば漢字が読めなかったり、パソコンでエクセルを使うのですが、そもそも打てなかった。でも何も分からない自分に対して、本来のカリキュラムにない、授業内容に至らないレベルの範囲も一から丁寧に教えていただきました。能力はバラバラな中でも自分は比較的低かったと思いますけど、おかげで楽しく学べました。

――どんな授業が印象的でしたか?

何もかもですね。まず勉強と真剣に向き合うことが初めてでしたし、そこを頑張らなければ先がないと思っていたので。
自分の将来をしっかりと考えていくという「キャリアビジョン」は、今後どのように生きていくかを目標設定しながら考える授業で、これが自分の中で大きかった。自分の何が強みなのか、弱みなのか、「ここをこうすれば伸びるんじゃないか」など、一緒に考えてもらえたことが今のポジションに繋がっているんじゃないかなと思います。

――そのときに考えたキャリアビジョンと今ではどうですか?

予定以上になっています!
目標ができたらそうなるためのアプローチ方法を短期、中期、長期と設定していくんですけど、段階を踏んでそこに向けて行動していくのと、ぼんやりこうなりたいなーと思っているだけでは、全く進み方が違います。1年後にはこうなっていたいということを具体的に決めておくことで、できることが大きく変わりました。
卒塾してからも、教えてもらったキャリアビジョンの考え方を軸に、自分で目標を立ててやってきたんですけど、半年に一度の人事評価では毎回ステップアップしている実感がありますし、今は「ああもうここまで来たか」というところに来ています。

――人生設計ができたのは大きいですね。晴れて卒塾された時は覚えていますか?

覚えていますね。仕事への姿勢もそうですし、何気なく生産していた日々の計画台数を、例えば定時間中に800台を作るためにどうするか?作業するうえでこう工夫すれば改善につながって、何かの削減につながるんじゃないか?と考えるようになりました。また、卒塾してすぐに工程リーダーを任せていただいたので、7人ぐらいのメンバーの方々をどうまとめていったらよいか、といったことも。次々と頭で考えるように変わっていましたね。

――以前の自分と違う!という感じですね

それは実感しましたね。年上の方を面談しなければいけないし、若いままの考え方ではついてきてもらえないと思うので、やはり自分がしっかりしないと、と思います。考え方は変わりましたね。

――以前のご自身のような方たちに伝えたいことは?

言葉ではなくて気づきを与えたいですね。なんていうんですかね、行動で見せたり、生い立ちを話したりする中で「俺みたいなのでもチャレンジすればこんなふうになれるんやで」ということを感じ取ってもらえて、自分で進路を決めていただければなと思う。人それぞれに道はあるし、むりやり行かせても、本人の意思がない限り続かないと思うので。「俺にもできるかも」っていう何かきっかけになれば。
塾に入れば社員になれるよ、という簡単なことではなくて、本人の勉強する行動力も頑張りも必要ですし、中には苦戦する方もいます。僕の時もそうでしたから努力しながら苦戦している人に後押しはしています。「この子大丈夫かな?」っていう若手も、一生懸命吸収して能力アップしていく姿は見ていて嬉しいです。毎週、仕事への姿勢が変わっていくんです。考え方が大きく変わって、向上心がだんだん出てくるんですよね。以前には考えられなかった会話もできるようになっています。

――成長したい気持ちが、変えていくのでしょうか。

新しいことを学んだり、自分の将来を考えられるようになったりする中で変わっていくのだと思います。自分のような一作業員がここまで来ているし、今まで何人も、リーダーになった人やステップアップできる姿を見ています。
なにか意地になっている方、自分には無理だと思い込んでいる方には、レールを引いたり、背中を押したりすることもあります。僕にとって創喜感働塾は、人生を変えるぐらい大きな価値のある6か月間でしたし、それがなければ今の自分はないと思っています。

滋賀支社 エアコン部門総括責任者 勝川正浩さん

創喜感働塾一期生という勝川さん。大学卒業後、一派遣スタッフとして真面目に仕事に取り組む姿勢が認められ入塾。勝川さんをはじめとする3名の初代卒業生の活躍は、周囲のスタッフやその後の創喜感働塾に大きな影響を与えたそうです。

――現在のお仕事を教えてください

生産品質管理の統括や人事異動、相手先との商談などをしています。

――入塾を誘われた時はどのように感じましたか?

いつかは地元福岡に帰るつもりで、関西には長くいるつもりはなかったけど、技術面などいろいろ教えてもらえるということでプラスになるならと思い、入りました。

――どんなことが印象に残っていますか?

授業の中でもキャリアビジョンの時間が多くあり、人生について真剣に考えることができたことが大きかったかなと思います。
それまでは、お金を稼ぐだけならどんな仕事でも同じだと思っていたので、あまり将来について考えていなかったです。何のために働くのか、働き方も深く考えたことがなかったです。
将来のビジョンは想像できず、時間がかかりました。適当でも生きていけるわ、と考えていたから。

――塾はどんな影響がありましたか?

授業で欲求を深堀していったら、自分は周りの人に喜んでもらって影響を与えたいのだということがわかりました。将来は福岡に帰るつもりでしたけど、それならここでちょっと頑張ってみようと思うようになりました。今ある環境と人間関係の中で役に立ちたいと考えるようになったんです。自分が頑張ることで、みんなの生活が安定していけばそれが喜びなんだとわかったんです。

――そのとき考えられたビジョンは、今どうなっていますか?

想像より、スピードもやりがいも上がっています。
大きく変わったんですよね、僕は。その後結婚をして家も建てました。今は充実しています。たくさんの人にもっと広がって、向上心のある人が集まったらすごくいいところだと思います。

――今統括するお立場になられて、今後のキャリアビジョンはいかがですか?

社員になってから一貫して変わらないのですが、周りの社員の人たちをもっと働きやすいようにしてあげたい。もっと生活を安定させてあげたいです。そのために自分がキャリアアップしなければならないなら自己成長させていくし、そういう考えは変わっていないですね。

――――――インタビューを終えて――――――
お三方とも「創喜感働塾をきっかけに、漫然と過ごす日々が充実に変わった」という共通点がありました。同時に、宮脇さんをはじめとする社員の方々の、彼らの可能性を純粋に信じ、とことん寄り添う姿勢も垣間見れました。「心」は目に見えませんが、大切なヒューマンスキルなのだと改めて感じさせられたインタビューでした。2010年から始まった創喜感働塾、今も塾生の方が自身のビジョンを描き、学びながら自己成長を遂げられています。

一人でも多くの方が、充実した人生を。

Interviewee

人材育成部 人材育成コンサルタント 障がい者雇用推進担当 宮脇 和孝 氏
エアコン製造ライン 梱包工程リーダー 木村 匡 氏
エアコン製造ライン 職長 高井 和也 氏
滋賀支社 エアコン部門総括責任者 勝川 正浩 氏

企業概要

川相商事株式会社

  • 設立: 1947年
  • 代表者: 代表取締役社長 川相 政幸
  • 本社所在地:〒571-0015 大阪府門真市三ツ島5丁目6番24号
  • 拠点:滋賀支社 〒525-0058 滋賀県草津市野路東五丁目26番35号
  • 内勤社員数:156名(2019年2月/グループ会社含む)
  • オフィシャルサイト http://www.kawai-g.com/

事業内容

アウトソーシング事業、人材派遣事業・人材紹介事業
総合物流業(保管・流通加工・配送)
トランクルームBOX21事業

認定等

障がい者雇用率 4.8%
ISO14001・9001認証取得
製造請負優良適正事業者
プライバシーマーク取得

グッドキャリア企業アワード2017大賞【厚生労働大臣表彰】を受賞
「社内スクールの運営を柱とした非正規社員の正規転換の推進」が評価され、労働者派遣業では初となる大賞(厚生労働大臣表彰)を受賞

グッドキャリア企業アワードとは? 従業員の自律的なキャリア形成の支援について、他の模範となる取組を行っている企業を表彰し、その理念や取組内容などを広く発信することで、キャリア形成支援の重要性を普及・定着させることを目的に実施するものです。
そして「グッドキャリア企業アワード」大賞は、特に他の模範となる取組を総合的かつ継続的に推進し、その成果が顕著である企業に贈られる賞です。

 

この記事の著者

AsanoAkira

AsanoAkira

大学卒業後、大手住宅メーカーに3年勤務したあと、さまざまな社会を経験したく派遣社員として6社を渡り歩く。景気悪化による失業を経験したことも。6社目の経営コンサルタント会社で一般事務からコンテンツ制作業務に転身。以降、直雇用での約12年間は、企業経営の現場で経営事例などのべ200人以上の取材執筆、編集に携わり、「経営は人。人生そのもの」と知る。現在はライフコーチなどを通じて、100年人生を思い通りに動かしたい人たちと未来創りに参画している。
詳しくは「ライター紹介」ページをご覧ください。

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