シリーズ「グッド派遣レポート」

“人の腕”が支える日本のものづくり(後編) 株式会社ワールドインテック

株式会社ワールドインテックのここがグッド!

  • 専門性が活きる人材プラットフォーム
  • 技術者として活躍、スキルアップできる
  • ものづくりへの誇りと貢献を感じる仕事

  

“人の腕”が支える日本のものづくり(前編)はこちらから

ものづくりに携わる人材サービスで総合コンサルティングやアウトソーシングを行う、株式会社ワールドインテック。代表取締役社長執行役員 岩﨑 亨さんのインタビュー後編です。
日本を代表するメーカーの開発エンジニアとして、第一線で活躍されてきた岩﨑さん。世の中の商品は“複合化”していると、日本のものづくりの変化を捉えたうえで、専門の技術を持っている人は、期待され必要とされるところに動かなければいけない。さまざまなプロジェクトに携わることでおのずと成長し、自分の仕事に誇りを持ってイキイキ生きられる、という前編のお話でした。

人の腕で勝負する

今まで、「技術」と一括りでお話してきましたが、私は「技術」と「技能」とを分けて考えていて、「技能」というのは“人の腕”についているもので、大工さんのような職人さん。この技能を、他の人でも出来るように体系化して整理すると「技術」になる、私はそんな定義です。
例えば、同じ車で競争しても、ドライバーの腕によって結果は変わります。最後に差がつくのは、「人の腕」です。日本がものづくりの先頭を走ろうと思えば、最終的には“人”で勝負だと思うし、日本のものづくりがなぜ勝ってきたかと言うと、やっぱり“人の腕と知恵”だと思いますよ。ちょっと乱暴な言い方ですけどもね。
開発力というような技術は欧米の方が上だったかもしれないけど、 それをどう応用して活かそうかという観点では、日本人みんなの知恵でやってきました。例えば品質管理の一つをとってもジャパンクオリティーとしてその差は出てきます。
“技能を持つ人の集団”は、最後の勝負を分けると思います。技能が蓄積されて、技術に置き換わると、それが門外不出であれば、それを持つ企業だとか国の圧倒的な力になります。技能はその人にしかない“暗黙知”です。一人ひとりの技能という暗黙知を形式知に変えられたら、それは絶対的な力になります。当社はそんな集団になりたいと思っています。
時代は刻々と変わっていますね。イノベーションとか言い始めたのはもう十何年前ですが、アウトソーシングの意味も少しずつ変わってきているし、クラウドイノベーションなど新しい概念も入ってきていますよね。

――大きく変わったのはいつ頃でしょう?

スピード感が変わった一つのタイミングは、インターネットの普及と、それにほぼ同期して純粋なハードウェアからソフトウエアとの複合に変わったあたりでしょうか。半導体がどんどん出てきて、大きな部品の組み合わせからチップセットに変わってくるとか、ソフトウエアでモノを制御するとか・・・いろんなことが変わってきました。
まさにスマホなんて、30年前に実現しようとしたら、背中に大きなブラウン管テレビを背負って、肩にはダイヤル式の電話を掛けて、手にはパソコンを持って歩かないといけなかった。半導体や液晶の技術が進まなければスマホは存在していないですよね。スマホの普及に貢献した小型化、軽量化は、自社の自前主義では時間がかかりすぎる。外部にある、あらゆる技術の集結でできたことです。
以前は水平分業と言われ「良い部品はどこにあるか」を探し、いくつもの部品を集めて組み上げたけど、今は、「良いテクノロジーは誰が持っているか」ということに変わってきました。「ものの領域から人の領域に落ちてきた」そういう時代になってきました。

――成熟して人に戻る、喜ばしいことです。

喜ばしいですけど、世の中は進歩しているので、世の中より早く進化しなければいけない。常に勉強し続けなければいけないと思います。そういう流れを感じながら活躍し、成長できるフィールドが、世の中にはまだまだたくさんありますよ。人生を終わろうとしている時に「俺、世の中に貢献したな」と思えることがあれば、すごい喜びですよね。その一翼を担ったと思えればね。

――やはり、世の中に貢献したい気持ちをお持ちでしょうね。

私たちは人材会社ですけども、例えば部品の製造会社さんの現場では、私たちの事務所などの見えるところに最終製品を出来るだけ置いてもらえるようにしています。自分たちの作っている部品はここに使われているんだと見えるように。 最終形が目に見えるというのは、単純な話ですけど、ここに自分の仕事が生きてるんだよねって思えたら、仕事への向き合い方は大きく違ってきますね。

――ものづくりって突き詰めると、人の思考なり気持ちなのでしょうか。

もう十数年前にもてはやされた議論ですけど、日本人というのは綿密な調整を重ねながら粘り強く高めていく「すり合わせ」技術がすごく強い。人の力で勝ってきているというのはとても大きいと思います。
ものが作りやすくなれば、大量生産の拠点は海外に移りますね。そのほうが安いからです。だけど、やはり新しいものを作っていこうという時に強みを発揮するのは、最後に人が関わってきた商品だと私は思うんです。私が思っているだけで確立した理論じゃないと思いますけど。

メカトロニクスが発展した時代は特にそうでした。ビデオテープレコーダーのテープ走行の機構部は、人の手で調整していたんですよ。ここ(汐留)から新宿ぐらいもうちょっとかな、ちょうど幅が1メートル・長さが6キロメートルの道があるとすると、そこを1秒の1/60という短い時間で、ヘッドがだ―んって走らないといけない。30センチもずれたら絵にならないんですよ。この超精密な調整を、みんな人間の手でしていたんですよね。だから日本製のVHSやベータは強かったです。この機構部を製造出来たのは日本と韓国のメーカーぐらいでした。でもDVDになって簡単になったら、どこでもできるようになったんです。日本は資源のない国ですが、人が資源です。

設計だって、昔は手で図面を書いていましたが、今は CADシステムだから、ルール通りにできてしまいます。これも私はよく言っています。「CAD は絶対にミスをしないけど、革新的なことはできない」って。これもちょっと乱暴な言い方ですが、なぜかと言うとCADは昨日までに解ったことをルール化しただけだから。昨日までの技術を超えられるのは、“人”ですよ。CADだけで設計を続けている限り本質的な進化はない。そこに人が関わることで、挑戦しルールブレークをしていかないといけないです。「このルールじゃ、ダメだよね」「なんでこんなルールがあるの?」「それは、この素材はこうだから」「じゃあこれを何とかしなきゃね」と新しいルールが生まれる。技術って進化していくのだけど、ルール通りこなせばいいっていうことだと進化はしないですよね。だから日本はお金をかけて一所懸命新しいことを生み出す。量産を全部海外に持っていかれちゃうのは、寂しい話なんですけどね(笑)

人のチカラを活かす

――誇りを感じます。御社にはそんな人たちが集まっているのですね。

今、当社で力を入れているのは、職種の転換です。ソフトウエアやCADの研修センターをつくって、今まで技術屋さんじゃなかった人に技術屋さんに変わってもらう。未経験者の方でもエンジニアを志望し、活躍している人は相当増えています。30~40年前は機械式の計算機や難しいプログラムが必要なコンピュータは理系の人が使っていたけど、MacやWindowsが出て使いやすさが一段と向上し、今は一般の人が使いますから、だれでもチャレンジできるのです。外国語学部出身の女性で、CADのオペレータになって頑張っている人もいます。

――手に職を、自分も「職」を持ちたい、という方たちでしょうか。

そういう、技術を習得したいという方がたくさんいますよ。作るっておもしろいしね。誰でも昔はラジオを分解して遊んでいたり、プラモデルを作ったりしたでしょう。もっと言うと、粘土で遊んだり、砂場で何かつくったり、いわゆる“ものづくり”をして遊んでいたんですよ。料理だってすごい技能です。魚はいつ焼くかとか、いつから解凍するとか、デザートはいつから・・・食べる時間に合わせて段取り替えしていくってすごいことですからね(笑)

――どんな方たちが多いのですか?

各事業部とも、新卒の方とキャリアの方の混在です。また弊社は職種の間口が広いので、入社前の経験職種も非常に広いですし、職種を転換した方も沢山います。
私たちが持つ、人のブランド力、企業のブランド力、技能・技術力、教育体制を一層強化し、「何かやりたいならあそこに行けばいい」と扉をたたいていただける状態、「ワールドインテックに頼めばいい」と言われる状態を目指しています。まだまだできていませんが、社内では「人の集まる企業にするためにどう魅力を出していくか」ということを最大の課題にしていますね。工場系の派遣も多いですが、先ほど半導体の装置オペレーションの話をしましたけど、むしろ工場系のほうが工程が明確ですので、各企業はコアコンピタンス領域に集中し、外部の活用を精力的に行っていく方が、企業は強くなるように思います。そういった視点を時代の背景とともに伝えて、人の成長につなげ価値を高めていきたいですね。

何もないところに成長の源泉がある。

――今後の展望はどうお考えですか?

人材サービス業として、派遣や正規、非正規という枠組みを越えて進化していかないといけないと考えています。日本はとくに。
時代が成熟してくると、いままでの延長線上に成功の解はないと思います。当たり前になっているところをくつがえした時、事業と事業のすき間や横に、成長の源泉ってあるのだと思います。
例えばスマホは、いろんな技術がくっついてできたわけで、電話のことだけ考えていたらできなかったし、パソコンのことを考えていたらできなかった。いろんな領域の“間”から新しいものができてくると考えると、当社はさまざまカテゴリーのテクノロジーや、技能、技術を網羅していることが強みになります。このワンストップの利点が、クライアント様だけでなく、働く人にも及びます。一人ひとりが誇りをもって働けるような場、プラットフォームを作っていく、それが“人が活きるカタチ”です。時代に求められるものに臨機応変に対応でき、動いていけることで、次世代に向け更なる進化の芽を生んでいけると考えています。

――ありがとうございました。


▲(右)代表取締役社長執行役員 岩﨑 亨 氏  (左)社長室 横江 義弘氏

“人の腕”が支える日本のものづくり(前編)はこちらから

Interviewee

代表取締役社長執行役員 岩﨑 亨 氏

企業概要

株式会社ワールドインテック

  • 設立: 2014年
  • 代表者: 代表取締役社長執行役員 岩﨑 亨
  • 福岡本社: 〒812-0011福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1 福岡朝日ビル6F
  • 北九州本社: 〒803-0814福岡県北九州市小倉北区大手町11-2
  • 東京本部: 〒105-0021東京都港区東新橋2-14-1 NBFコモディオ汐留4F
  • 在籍人数:13,728名(2018年12月末現在)
  • オフィシャルサイト https://www.witc.co.jp/

事業内容

上場企業を主体とする研究開発、情報、技術、製造分野の総合コンサルティング、
人事コンサルティングおよびアウトソーシング
○ファクトリー事業(製造分野の請負および派遣事業)
○ロジスティクス事業(物流分野の請負および派遣事業)
○テクノ・SI事業(生産技術・設計開発の請負および派遣事業)
○R&D事業(研究開発・臨床開発分野の派遣事業)
○リペア事業(修理サービスの請負および派遣事業)
○購買事業(半導体関連の部品・部材調達事業)
○行政受託事業(産学官連携による共同人材育成・就職支援事業)

認定等

有料派遣事業者認定

持株会社

株式会社ワールドホールディングス(東証一部上場 証券コード:2429)

この記事の著者

AsanoAkira

AsanoAkira

大学卒業後、大手住宅メーカーに3年勤務したあと、さまざまな社会を経験したく派遣社員として6社を渡り歩く。景気悪化による失業を経験したことも。6社目の経営コンサルタント会社で一般事務からコンテンツ制作業務に転身。以降、直雇用での約12年間は、企業経営の現場で経営事例などのべ200人以上の取材執筆、編集に携わり、「経営は人。人生そのもの」と知る。現在はライフコーチなどを通じて、100年人生を思い通りに動かしたい人たちと未来創りに参画している。
詳しくは「ライター紹介」ページをご覧ください。

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