人と本気で向き合う社長に学ぶコミュニケーション術 Man to Man 株式会社

みなさんこんにちは。

今回は趣向を変えて、インタビューをお送りします。
人材サービス会社を実際に訪問してきて感じるのは、「人間の可能性を信じている」ということ。テクノロジーやAIの時代に、人としっかり目線を合わせ、今大きく叫ばれるようになった「働き方改革」よりももっと前から、働く人の幸せを創造し続けてきていると感じます。

今回は、そんな人材サービス会社がどんなお考えをお持ちなのかを伺いました。

愛知県名古屋市をはじめ、全国で人材紹介・人材派遣を中心に展開されているMan to Man株式会社。「人と本気で向き合う人たちが集まっている」という同社で一貫して「人づくり」を行ってきたという田中社長にお話しを伺いました。


▲代表取締役社長 田中 正次 氏

人が価値を生み出す会社

―高校卒業後に銀行へ就職されたあと、なぜ人材サービス会社を立ち上げられたのですか?

製造業の現場をみたときに、「人の強さが会社の力になる」ということをまざまざと見せつけられました。工場がきれいに整頓されていたり、物を大切に扱ったり、社員の士気が高かったり。会社は、人が価値を生み出しているのだと知りました。それが業界に興味を持った一つのきっかけです。

銀行は、決算書をみてお金を貸す判断をします。いわば経営の通知表ですから過去を見ているのです。私は数字に表れてこない人や風土の素晴しさに賭けて、未来を創るお手伝いをしたいと感じました。

―「人」に着目されたのですね。人材サービス会社としてはどのようなスタートでしたか?

当初、とある他社の光景に出合いました。特攻服のような作業着を着た社員が作業員を連れて行く様子に衝撃を受けました。「これはよくない!作業服を着てただ働けというやり方は人に対する尊厳が保たれない。私は『人のための会社』を作る!」と決意しました。

第一に始めたことは、社員の身なりでした。紺かグレーの背広、ワイシャツは白。髪は短髪で茶髪にするな、と。今でもそのスタイルです。現場の改善提案をし、当社のスタッフたちをサポートするために、企業のお客様と対等であることを重視したのです。所作、清潔感を整えることで信頼いただく、これがわが社の文化です。私は小学校から柔道をやってきて「礼に始まり礼に終わる」ということを大事にしてきました。

―幼少の頃から身に着いているお考えなのですね。

私は鹿児島の大自然のもとで穏やかに育ち、争いのない素晴らしい両親を持ちました。職場も同じ。社員が育つ「環境」は社風になります。営業会社といえば大きな声が飛び交うような印象ですが、当社は穏やかで和やかです。 お越しいただいたお客様からも驚かれるほどです。

共通言語と信頼の基盤づくり

―たしかに、とても静かです。どのような環境づくりに取り組まれたのですか?

徹底した「人づくり」に取り組んできました。創業当時から、たとえ赤字であってもです。一つは知識の平準化です。私が銀行員時代に学んだ4か月間の社外研修プログラムを、多くの社員に受けてもらいました。共通言語を合わせるという目的です。

例えば「段取り替え」という製造工場の手法があります。今朝マヨネーズを作った工場で午後からソースを作るために、綺麗に掃除をして製造態勢を整える、この時間を短縮すると生産数は高まります。全員に同じ考え方があればすぐにノウハウが全員に伝わり、現場で活かされることになるのです。

次に、お互いを知るということをしました。創業時から連休のたびに北海道や沖縄の離島まで、6人くらいで若い社員と旅行に出かけました。着飾ることなくすべてさらけ出し、食べ方や遊び方、酒の飲み方、お風呂の入り方まで知ってもらうためです。また私の鹿児島の実家にも、社員十数人を何度も連れて行きました。私が幼少期にどういう人間だったか、近所の人や父親と話をしてもらい、社長という人間を知ってもらったのです。

日常の中で、言葉によって誤解を招くことや心を傷つけてしまうことがありますが、そんな時に「あれは田中の本音じゃないな、今日は機嫌が悪いな」とハラで繋がる人間関係を作るのです。


▲「あ」から「ん」まで、社員から前向きな言葉を募集し、制作した社是。取引先企業にもプレゼントしているという

―社員をご実家にまで連れていくとは驚きです。深い信頼関係になりますね。

お互いに人を知るための努力を惜しまずやってきました。社員を疑いの目で見たくないのです。この目で採用した社員を、残念なボタンの掛け違いで不幸にしないための基盤づくりなのです。こうした関係性をベースに、会社の文化やDNA が創られていきました。

リーマンショックの時に、断腸の想いで当時の仲間300名をリストラすることになりました。これが本当に辛かった。ですが対象となった社員は理解をしてくれたようで、トラブルは全くなかったのです。


▲決算を迎えての暑中見舞い。社員、パートのご家族には、手紙と鹿児島産スイカを添えている

―社員との関係性をそこまで大事にされたのはなぜですか?

信頼と仕事の質を保つことで企業に喜ばれ、長く良好な取引ができ、派遣スタッフにはより良い待遇を与えることができる、そして社員も喜ぶという好循環を作りたい。そのスタートは社員だと考えます。

仕事は誰でもできます。ただ目に見えない小さな積み重ねがその良し悪しを変えます。お客様にも電話の向こうのスタッフにも「何かしてあげよう」と自然に行動できるような、そういう人づくりをしてきました。

一例ですが、職業紹介のシーンでは、ある他社のスタッフが入社初日に勤務先を訪れた際、どうしたらいいかわからずに入口で困惑していたようです。そこで当社スタッフの付き添いに来ていた社員が機転を利かせ、一緒に入社手続きを手伝ったそうです。ほかにも「当社の社員が傘を貸してくれた」など、他社のスタッフから感謝を伝えられることがあります。派遣スタッフのリピートや応募が増えているのは、社員の接し方、気働きの結果と言えるでしょう。「あの時、よくしてくれたな」という記憶は心に残るものなのですね。

遊びの中ではぐくむ人間性

―現在はどのような人づくりをされているのですか?

組織経営は役員に任せて、私は全国の社員に人間力を高める研修を実施しています。

研修は、遊びを通じて行います。たとえばみんなで植えた水仙の花壇の草むしりをして、その後バーベキューをしようという企画。彼らの何気ない行動の中に、良いところと悪いところを見極めて、個別にさりげなく伝えます。あくまでノリの中です。船釣りの企画では、料理のできる人や船酔いする人を介抱できる人、絡んだ釣り糸をほどける人など、普段おとなしい社員もヒーローになります。勤務時間内では、意識がはたらいて無理に背伸びをしてしまいますが、自然体でいられる場だから身に着きます。若さゆえに意気込みすぎて空回りする社員をみんなで笑い飛ばすことも、遊びだからこそできること。そういう場面を作るのは私の役目です。


▲「元気ファーム」でのプチ運動会、田植え、流しそうめん

役員にも、部下とのコミュニケーションを自由にさせています。例えば、近場であれば海外にも連れていくことがあります。これだけは絶対にやめてくれ、と言っているのは、成績の良かった社員を機械的に連れていくこと。人と人との信頼関係を深めるための約束です。

私は社員を会社人間にしたいわけではないのです。「うちの娘婿にMan to Manの社員を欲しい」といわれるほど、人として価値を付けたい。魚のきれいな食べ方や箸の持ち方、挨拶のしかたや、お客様の前でのカラオケの歌い方などもね。研修という遊びの中で身に着いていきます。素直で素晴らしい人間になっていきますよ。


▲内定者の潜水体験研修。水中という非日常で命がけの共同作業。相手を信頼すること、コミュニケーションの大切さを知る自社開発のプログラム。人として成長し、仕事への向き合い方を知る

目に見えない「質」を高める

この業界にとって大切なのは人の質です。まずは社員が幸せであり、「人を幸せにしよう」とする人間であること。社員は派遣スタッフに対して、未来を見据え、どんなことをしてあげられるかを考え、時には厳しく注意することもあるでしょう。そこに自身の人間力が活きてくるのです。仕事内容はおそらく他社と変わりありません。ですが当社の社員には目に見えない積み重ねがあります。

これから AI が活用され、人のつながり、信頼までがデータ化され、評価されるようになります。決算書には表れない部分です。当社はそこで選ばれる会社になるのです。大企業とは違った形で、目が行き届く範囲で人を育てていきながら「あの会社と関わることで幸せになれる」と言われるよう、まず我々が幸せでないといけない。人材会社とは、人を幸せにする会社なのです。

―ありがとうございました!

Interviewee

代表取締役社長 田中 正次 氏

企業概要

Man to Man株式会社

  • 設立: 2001年
  • 代表者: 代表取締役社長 田中正次
  • 本社所在地:〒460-0007 愛知県名古屋市中区新栄1丁目7番7号 RTセンターステージビル
  • オフィシャルサイト https://www.man-to-man-g.com

事業内容

有料職業紹介事業(23-ユ-301086)、労働者派遣事業(派23-301331)、再就職支援事業、生産・物流業務のアウトソーシング事業、コンサルティング事業

Man to Manグループ企業

Man to Man Assist株式会社、Man to Man Animo 株式会社、Man to Man Passo 株式会社

この記事の著者

AsanoAkira

AsanoAkira

大学卒業後、大手住宅メーカーに3年勤務したあと、さまざまな社会を経験したく派遣社員として6社を渡り歩く。景気悪化による失業を経験したことも。6社目の経営コンサルタント会社で一般事務からコンテンツ制作業務に転身。以降、直雇用での約12年間は、企業経営の現場で経営事例などのべ200人以上の取材執筆、編集に携わり、「経営は人。人生そのもの」と知る。現在はライフコーチなどを通じて、100年人生を思い通りに動かしたい人たちと未来創りに参画している。
詳しくは「ライター紹介」ページをご覧ください。

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