- 2019-3-26
- グッド派遣レポート, シリーズ, 成長して稼ぎたい, キャリアアップしたい, 正社員になりたい, 派遣社員として安定就業したい!
通勤ゼロの働き方へパラダイムシフト 株式会社キャスター
株式会社キャスターのここがグッド!
- 在宅でなければ働けない人が働ける
- 全国からマッチングができる
- 働き方改革の先進モデル
みなさんこんにちは。
企業が抱える人材不足の問題は、単なる人口減少傾向によるものだけではないようです。さまざまな要因はあるものの、一つに、働きたい人が勤務条件を理由に働けていないという現実があります。お子さんを保育園に預けるための「保活」という言葉も生まれているように、スキルのある人材が環境のために働かないことを余儀なくされているのです。どちらの立場にとっても、もどかしいことです。
そんな中で、「人材不足の傾向はみられない」という会社がありました。お話しを伺うと、募集をかければたくさんの応募が集まってくるという、企業側にも働く側にも理想的なサイクルが実現できているようです。
株式会社キャスターは、東京都心部に本社を構えながら通勤という概念をなくした人材サービス会社です。業務アシスタントを一手に請け負う「CASTER BIZ」や、「在宅派遣」、多様な働き方専門の求人サイト「Reworker」などを展開。社内も一貫して「働き方、働かせ方」にフォーカスし、従業員の95%以上が働く場所を問わない「リモートワーク」でほぼ完結。取材に訪問した本社は話題のシェアオフィスだったのですが、この日も出勤している社員の方はほとんどおらず、施錠されていたために私も見学することもできませんでした。マネジメントもユニークで、750名以上の従業員が全国でリモートワーカーとして働いているという、働き方改革の先進企業です。
「在宅派遣」についてお話しを伺った坂井さんも、「リモートワークでなければ同社に関われなかった」という、実はご自身でも派遣会社を経営されているダブルワーカーでもあるのです。
取材対応をしてくださった広報の女性の方も、1歳7か月のお子様がいらっしゃるそうで、この日は取材対応のために出社してきていただきました。ありがたい。今後の取材はビデオチャットで行いましょう。インタビュー前から、必要に応じて通勤するというスタイルを目の当たりにしました。
代表取締役の中川祥太氏が同社を立ち上げたきっかけは、前職時代に出逢った、スキルの高いクラウドワーカーさんたちだったそうです。当時、オンラインで業務を行う優秀な方が、低賃金で働いていたことに疑問を持たれました。同じ仕事でも、会社に通勤するのとしないのとでは賃金が違うのはどうなのか?と。
そこで、働く人のスキルとオンラインの利便性を活かし、リモートワークに特化したサービスを次々と展開、「労働革命で、人をもっと自由に」とのビジョンを掲げ、日本に働き方のパラダイムシフトを起こしています。
そもそも、会社にいる必要はあるのか?
「週5日、9時から17時まで会社にいる必要はあるか?という疑問が湧いた」という坂井さん。在宅派遣の立ち上げの中で、会社にいなくてもできる業務はたくさんあると気づかれました。
テクノロジーが飛躍的に発展した現代もかつての、高度経済成長期も、一日は同じ24時間。ですが働き方は当時と変わっていません。「今、日本企業の生産性を調べた時に見えてきたのは、会社に出社をすれば仕事をしたような気になってしまっていることも多分にあるな、ということ」。満員電車での往復通勤や、ハラスメントに気を遣う人間関係、「出社しなければ仕事はできない」という考え方がまだまだ根付いるところに、時代に見合った生産活動に注力できていない盲点があるようです。
実例として、滋賀県の企業に在宅派遣として働いているのは、長野県のシングルマザーの女性。業務内容は、電話による営業活動とお客様データの管理、書類作成だそうですが、勤務時間はお子様のお迎えがあるため9時から15時半。にもかかわらず十分に機能できており、企業にもスタッフにも喜ばれているそうです。
主にどのような方が在宅派遣で働いているかというと、小さなお子さんがいる女性、旦那様の転勤が頻繁にあることで都度職場を変わらなければならない女性、複業志望の方々のようです。多くは女性ですが、男性の登録者も2~3割おられ、コールセンターやカスタマーサポートなどで活躍されています。登録を希望される方々は日本全国から集まっているそうです。
在宅派遣のしくみ
在宅派遣の業務内容としては、事務の領域でいえば、通常の通勤型とほぼ変わりない、一般事務、営業事務、カスタマーサポート、コールセンター、経理、総務などが対応可能ということです。
派遣登録の手続きはすべてオンライン。登録面談、商談、契約、eラーニングによる研修。そして業務もオンライン上というスタイルです。業務時間内の指揮命令はチャットやビデオチャットが主。隣の席にいるのと変わらない状態で仕事ができます。紙の受け渡しがないというくらいでしょうか。
派遣単価は、一般の派遣と同様に、業務内容と派遣先企業の地域に合わせて設定されます。
気になるのは、環境とセキュリティーです。不特定多数の人間が、多くの重要情報や書類に触れられるようなオフィス環境での業務に比べると、リスクはむしろ少ないとみています。スタッフ自身のパソコン、ネットワーク環境を使用するため、支障なく業務できるような一定以上のスペックが必要になります。プライベート使用との切り替えのため、会社規程の設定を行い、指定のセキュリティソフトを会社負担でインストールします。企業によって、機密性の高い業務の場合は、企業側からパソコンを貸与いただくようにしています。
これに関連して、企業側が在宅勤務を躊躇する大きな理由として、管理者が見ていないと業務が滞るのではないかという不安であると推測されます。勤務態度や貢献度、勤勉さを目で確認し、評価したいということが大きいようです。
これについては通勤型、在宅型にかかわらず「仕事の指示のしかた」にポイントがあるといいます。タスクの意義と役割を示した前提で、業務指示と期限を明確に共有できていれば、スタッフはそこにコミットするだけです。タスク指示と成果の観点でみれば、貢献できているかどうかは明白です。
「働き方改革は、働かせ方改革であり雇い方改革」と坂井さんはおっしゃいます。「理想は、企業が在宅勤務社員の採用に踏み切ることです。もし不安があるなら、試しに在宅派遣を導入して要領をつかむのもひとつです。企業内に在宅勤務を受け入れる体制ができれば、労働市場は大きく開放されるでしょう。」
双方に広がる可能性
在宅派遣の話で有効だと感じたのは、企業と働く人の双方がどこにいてもよい、ということ。
例えば、労働人口減少地域の企業でも、全国からスタッフを探すことができます。「地方だから働き手がいない、募集しても応募がない」という今までの常識を打ち破ることができます。逆もしかり。スタッフ自身のスキルを全国から求めてくれる可能性があるのです。
在宅派遣を利用した成功事例は、それだけでも記事になるほど豊富だそうです。福岡県の地方にあるコールセンターでは、地域での採用が難しいために、在宅派遣を依頼されました。営業経験や法人窓口経験のあるスタッフが、東京、山梨、熊本、大阪、福岡から名乗りを上げ、在宅業務をされているそうです。中でもシングルファザーの男性は営業経験を活かした、在宅かつフルタイムで働ける仕事を探しておられました。活躍できる場ができたことにとても喜ばれているそうです。
別の例では、大手企業でメディアやゲーム、コンテンツの立ち上げを経験し、フリーランスとして九州に移住された方が登録されました。一方で、岩手県にある看板会社がオウンドメディアのコンテンツディレクターを探されており、ご縁が生まれました。お互いに地元で探していてはなかった出逢いです。
「嬉しい出逢いをつくれることは、とてもやりがいある!」と坂井さんはおっしゃいます。在宅派遣という仕組みから、距離を越えて人と企業が化学反応を起こしはじめています。「通勤」という概念をはずすことで、企業側にも働く側にも可能性が広がるのですね。
キャスターへの応募は一度に1000人規模であるということから、素晴らしいご縁はまだまだ多く潜んでいそうです。AIやRPAといったテクノロジーと人が共存し、働きたいニーズと人材不足のニーズの双方を満たせる可能性は大きいと感じました。
Interviewee
在宅派遣事業部マネージャー 坂井 真吾 氏
企業概要
株式会社キャスター
- 設立: 2014年
- 代表者: 代表取締役 中川祥太
- 本社所在地:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-12-18
- オフィシャルサイト http://caster.co.jp/
事業内容
オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ(キャスタービズ)」サービス運営
「在宅派遣」サービス運営
デザイナー・エンジニアのお仕事紹介サービス「Remote Style」サービス運営
クラウド型デスクトップ仮想化サービス「Caster Entry」サービス運営
他