シリーズ「グッド派遣レポート」

できた!わかった!受かった! 大人の塾で人生が変わる?! 川相商事株式会社

川相商事のここがグッド!

  • 教育のしくみがある
  • 仕事に真剣になれる
  • 人生まで応援してくれる

みなさんこんにちは。
おもしろいことはあっという間に時間が過ぎています。どんな時?休みの日など、何をしようかと考えますね。何か趣味に集中しているといつの間にか日が暮れています。
だけど「また仕事かー…」と思うと、憂鬱になりますよね。仕事は、やみくもにこなすと絶対につまらないものです。どうしたら仕事がおもしろくなるのでしょうか。

大阪門真市にある川相商事株式会社は、1947年から続く派遣・請負の人材会社。
この会社、自社の請負社員が週に一度通う、塾があります。「勉強」と思うと気が重くなるかもしれません。

ですが会社を辞める人が激減したといいます。2012年に232人だった離職者が、2016年には68人。この減り方は、すごい!
どういうことかというと、たとえば、あるイベントに来ていた3/4の人が楽しくて何年もそのイベントに通っているような感じ。会社を辞める人が減るということは、「仕事がおもしろい」ということになりませんか?

人生を変える、きっかけの一つになればいい

「創喜感働塾」は、2010年の開校以来60~70人が卒塾しています。請負労働者を「社員」と呼ぶ代表取締役社長の川相政幸さんは、「一生懸命に現場で働いている社員を、管理もできる人に育てたい」という目的でこの塾を開校しました。塾によって正規社員レベルにまでパワーアップした請負社員は、第一種衛生管理者免許を取得し、現場のリーダーなどとなって活躍しています。その仕組みが国から評価され、厚生労働省のグッドキャリア企業アワード2017で、労働者派遣業ではじめて大賞を受賞されました。

国から認められるとはよほどしっかりしていそうですね。とはいえ前例がなかったため、自社で独自に創り、磨いてこられたのだそうです。
勉強する内容は大きく2つに分かれます。「テクニカルスキル」は仕事上の知識や管理者レベルの力を身に着けるもの。「ヒューマンスキル」は人間としての「心」の勉強です。

心がひらくヒューマンスキル

とくに力を入れているのが「ヒューマンスキル」です。社員の多くは、自分には能力がないと思い込んでいたり、言われる通りにしないといけない、と考えて自分を我慢させ、本来持っている可能性を閉じ込めているそう。川相さんはこれを「心のコップが下向きの状態」とおっしゃいます。その状態ではいくらテクニックを教わっても自分に活かせないのです。自分の器をつくるための学びがヒューマンスキル。素直さともいえるかもしれません。あなたの心のコップは上を向いていますか?


▲代表取締役社長 川相 政幸氏

「心の状態」までしっかりと育成する仕組みがある請負人材の会社なんて、ほかにあるのでしょうか。自分の人生を考えるプログラムもあり、自分は何者かを知り、将来どうなっていきたいかを考えていくのです。卒塾式での「キャリアビジョンスピーチ」では、みんなの人間的成長が見え、感動の渦だそうです。


▲晴れて卒塾したみなさん

人はそんなに変われるのでしょうか?
「例えば『コミュニケーション』に苦手意識があるのでは、と考えていましたが、実際には話し始めたら止まりませんでした。本音は、話を聴いてほしかったようです。」
と話すのは、講師も務める人材育成部人材育成コンサルタント 宮脇和孝さん。塾生がどんどん心を開いていくので「驚きと感動の連続ですよ!」と満面の笑顔です。塾が進むにつれ、仲間を大事に考えたり、先まで計画できるようになったり、できることが増えていくのだそうです。とてもやりがいのあるお仕事なのだと感じました。

社内という、お互いのことをよくわかっている関係だから、なおさら変化が早いのかもしれません。それにしても、ここまで意識を変える教育って、しかも請負社員向けの教育制度って、ほかにあるのでしょうか?「一般的に会社が正社員に行う教育を、請負社員たちは受けてきていない。そこを担うのがこの塾の役目だ」といいます。なるほど、それは社会人として自信を持てそうです。


▲毎週金曜8時間、6か月にわたって学ぶ創喜感働塾の内容

社内だからこそできる愛ある教育

「創喜感働塾」に入塾するきっかけは、上長からの「行ってこい!」の声がほとんどだそうです。推薦されたことでやる気を出す人もいれば尻込みしてしまう人もいます。
そこで影響力を持つのが先輩の存在。卒塾してリーダーとして活躍する先輩たちは、カッコよく頼もしく見えます。「今度は自分がそうなれるかも!」と思うと、心底は嬉しいようです。それでも途中で諦めてしまいそうな人は、いち早く察知し、話を聴いてあげるそうです。こうしたフォローも、社員の特性や環境をよく知っている同社の強みですね。


▲創喜感働塾の様子。川相社長みずからも教えてくれる

受講を終えた社員は、生産性向上にも大きく貢献しているということです。会社の業績に繋がっているということです。なによりも、後輩たちによい影響を与えていることが、先に述べた「人が辞めなくなった」現れでしょう。
希望を見出し、結婚して家を建てた人もいます。また、自分とじっくり向き合ったことでやりたいことを思い出し、残念ながら退職してしまう人もいますが、人間的自立はこの上ない喜びなのだそうです。
川相さんはおっしゃっています。「真剣に仕事に取り組むと、働いている一時間が楽しくなり、『人生の一時間』が充実します。できることが増えて、他人との繋がりが広がるのです。ぜひ働く喜びを見つめてほしいです。」遊びの一時間も仕事の一時間も、同じ人生の一時間なのですね。

▲卒塾生の声 創喜感働塾のHP「e4510.jp」より

あなたの成長は大きな影響力となる

受講料も資格受験料も会社負担、一から自社オリジナルで作り上げるという大きなチャレンジを成功させたのは、「働く人を成長させたい」と全社を挙げて取り組めている結果でしょう。社員を人間として、その人の人生まで真剣に考えられている姿勢には、感動しました。その姿勢は、障がい者雇用にも表れています。4.8%の障がい者の方が就労、しかも継続的に働かれているというから驚きです。
ちなみに、創喜感働塾を活かし、大阪体育大学ラグビー部、金光藤蔭高校ラグビー部への研修を実施。大阪体育大学ラグビー部は2017年の関西大学ラグビー入れ替え戦で、悲願の4年ぶりAリーグ復帰を果たす快挙となりました。結果を出せるのは強い!さらには中部地方のラグビー強豪大学からも要請があり、2019年春から研修が始まるそうです。自社の取り組みが他の業種にまで通用するということは、いかに効果があるかがうかがえますね。


▲宮脇氏、川相氏、相川氏

お話しいただいたときの、終始まっすぐで、やわらかいお三方の印象から、社員たちを信じている姿勢がうかがえました。
川相さんは、成長していく社員への想いをこう語ります。「少し目線を変えることで、世界の見え方が変わり、人生がこんなにも明るいものだったと気づくのですね。ですから仕事を通じてどんな小さなことでも、自己実現していってほしい。私たちは、彼らが辛くなって逃げ出してしたくなる時も、大丈夫!と背中を押します」
自信を持てることで仕事はもっと楽しくなります。「人は成長できる」と常に信じ、バックアップしてくれるこの会社は、これからも社員たちと共に成長を続けるのだろうと感じました。

Interviewee

人材育成部 人材育成コンサルタント 障がい者雇用推進担当 宮脇 和孝氏

滋賀支社 支社長 改革推進本部本部長 障がい者就業支援長 相川 定任氏

代表取締役社長 川相 政幸氏

企業概要

川相商事 株式会社

  • 設立:1947年
  • 代表者:代表取締役社長 川相政幸
  • 本社所在地:〒571-0015 大阪府門真市三ツ島5丁目6番24号
  • 支社・拠点:滋賀支社 〒525-0058 滋賀県草津市野路東五丁目26番35号
  • オフィシャル http://www.kawai-g.com/
    創喜感働塾  http://www.e4510.jp/school/

事業内容

アウトソーシング事業、人材派遣事業・人材紹介事業
総合物流業(保管・流通加工・配送)
トランクルームBOX21事業

認定等

障がい者雇用率 4.8%
ISO14001・9001認証取得
製造請負優良適正事業者
プライバシーマーク取得

グッドキャリア企業アワード2017大賞【厚生労働大臣表彰】を受賞
「社内スクールの運営を柱とした非正規社員の正規転換の推進」が評価され、労働者派遣業では初となる大賞(厚生労働大臣表彰)を受賞

グッドキャリア企業アワードとは? 従業員の自律的なキャリア形成の支援について、他の模範となる取組を行っている企業を表彰し、その理念や取組内容などを広く発信することで、キャリア形成支援の重要性を普・定着させることを目的に実施するものです。
そして「グッドキャリア企業アワード」大賞は、特に他の模範となる取組を総合的かつ継続的に推進し、その成果が顕著である企業に贈られる賞です。

この記事の著者

AsanoAkira

AsanoAkira

大学卒業後、大手住宅メーカーに3年勤務したあと、さまざまな社会を経験したく派遣社員として6社を渡り歩く。景気悪化による失業を経験したことも。6社目の経営コンサルタント会社で一般事務からコンテンツ制作業務に転身。以降、直雇用での約12年間は、企業経営の現場で経営事例などのべ200人以上の取材執筆、編集に携わり、「経営は人。人生そのもの」と知る。現在はライフコーチなどを通じて、100年人生を思い通りに動かしたい人たちと未来創りに参画している。
詳しくは「ライター紹介」ページをご覧ください。

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